※作家がおすすめする本のコーナーです。
しんさん、今回はうさぎの本ブヒンですか?
動物を書いた本は少ないし、特にうさぎはめずらしいよね。面白いんだよ〜。
うさぎですか〜。
面白いと言われてもあんまり興味がブヒ・・・ウマだったら。
わたしも最初は「うさぎ〜?」と思ったけど、読んだら驚くよ。強烈な印象を残す壮大な物語です。
はじまり、はじまり〜
概要
- 題名
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』 - 作者
リチャード・アダムズ(イギリス) - 出版社
評論社文庫ほか(評論社文庫は上下巻) - 初出
1980年6月
イギリスの二大児童文学賞といわれるカーネギー賞とガーディアン賞を受賞した本作。
そこから広がり、大人たちも巻きこんで大ヒットしました。
大人も楽しめる物語ということですブヒ?
むしろ大人向けかな。
ちなみにアダムズ氏の最初の物語です。
最初で大ヒットって、しんさんと違って才能あふれる作家さんブヒね!
ウマぞうくん、ひと言おおいよ。
最初の物語、いわゆる処女作には「その作家のすべてが出る」という人もいるね。
好きな作家ができたら、最初の物語も読むことをおすすめします。
しんさんの処女作は『忘れ村のイェンと深海の犬』ブヒねー。
宣伝ありがとうと言いたいところだけど『少年と怪物』という物語が最初です。
『忘れ村〜』は長編8作目だったかな。
『少年と怪物』といえば、このブログで絶賛公開中ブヒ。
16年書いてるけれど、いまだに『あれが一番面白い』と言われるよ。
それって、作家としてぜんぜん成長してないってことブヒ?
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あらすじ、どのような内容か
うさぎの大冒険です。
※地図などもついています↓。左下に、うさぎのジャンプ力も書いてあるこだわりがにくい。
※評論社文庫より
耳が長くてニンジンが好き。さびしいと死んでしまう。そんなコミック調のウサギは、本作には一匹たりと出てきません。
大自然を駆ける個性豊かな彼らの生活は、驚異に満ちています。
動物を書かせたらアダムズの右に出るものはおらず、たとえば「ウサギはこんな物を食べるのか」ときっと驚くことでしょう。
さらにうさぎを通して、滑稽な人間社会を目にすることもできます。
オススメのポイント
- 物語が壮大。
☆☆☆☆☆☆☆(星七つ) - うさぎたちの奮闘に心を揺さぶられる。
☆☆☆☆☆☆☆(星七つ) - うさぎの世界・目線が斬新。
☆☆☆☆☆☆☆(星七つ)
意外かもしれないけれど、テイストが似ているのは『指輪物語(ロードオブザリング)』だね
そんなに壮大ですブヒ!?
あくまでうさぎ目線だけどね
※厚さはこのくらいです。
ちょっとだけ抜粋
※『ウォーターシップダウンのうさぎたち』(下巻 「30 新しい旅」より)
「ねえ、ダンディライアン、話をきかせてくれないか?」
「そうだ! そうだ!」と、ほかの数匹もいった。「はなしてくれ! それも、とびきりおもしろいのをたのむ。」
「わかった。」とダンディライアンがいった。「『エル=アライラーと水の中のきつね』はどうだい?」
「『空の穴』がいいな。」と、ホークビットがいった。
「いや、それじゃないやつだ。」ピグウィグがふいに口をはさんだ。日が暮れてからずっと、ほとんど口をきかなかったピグウィグの言葉なので、みんながふりむいた。「話をきかせてくれるなら、おれがききたいのはただ一つ、」と、ピグウィグはつづけていった。「『エル=アライラーとインレの黒うさぎ』」
「そいつはまずいんじゃないか。」と、ヘイズルがいうと、ピグウィグがふりかえって歯をむきだした。
「話をきくなら、ほかのものとおなじように、おれにだってえらぶ権利があるとは思わないか?」と、ピグウィグはいった。
ヘイズルがいいかえさなかったので、しばらくは、だれも何もいわなかった。やがて、ダンディライアンが、やや沈んだ調子ではなしはじめた。
※裏表紙も雰囲気いいですね。
ちなみに、舞台であるナットハンガー農場はじめ、諸々の場所は実在の場所です。
こんな人におすすめ
- うさぎ好きの方、動物ものが好きな方。
- 『動物農場』などの擬人化や風刺が好きな方。
最後に
良い物語の条件に「読後しばらく経っても登場人物の名前、あるいはストーリーが思い出せる」というものが挙げられます。
うさぎたちの伝説的英雄エル=アライラー、ヘイズル、インレの黒ウサギ、フルドド。いずれも心に刻まれることでしょう。
心に残る言葉は、良い物語を探す灯台ブヒなのね
ウマぞうくん(のモデルの人)が、めずらしくうまいこと言った!
アダムズのテーマである『神の探究』も、私の好きな要素でした。それでは今回はこの辺で。
・アダムズのほかの著作
『シャーディック』、『疫病犬と呼ばれて』など。
「今日のひと言」
次回は深く考えさせられる『告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実』です。
・一覧 『人生を豊かにする本棚』
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