※作家がおすすめの本を紹介するコーナーです。
今回は凄まじいホラー小説『残穢』の紹介です。暑くなってきた時期にゾッとして、涼をとるのにぴったりの本ですね。
(※本記事は6月末に書いています)
今回はホラーですブヒか。。ぼく、怖いの苦手なんですブヒけど。
ウマぞうくんは、怖いのダメだったね。でも『残穢』は、大量の血とか、人体損壊みたいな、そういうホラーじゃないよ。
怨念の積み重ねや因縁がすごく恐ろしい、つまり話自体が怖いというか。
しんさんがおすすめする本は間違いないから、じゃあ話だけは聞いてみますブヒ。
よくぞ言ったウマぞうくん! 人生の面白さは挑戦にこそあるよね。
怖がりのウマぞうくんのテンションが低いですが、はじまり、はじまり〜。
突然ですが「蛇足の名言」
概要
- 【題名】 『残穢』
- 【著者】 小野不由美
※小野不由美(リンク先 ウィキペディア) - 【出版社】 新潮社
- 【初出】 2012年7月
・厚さはこのような感じです(左)。
・目次(右)
あらすじ、どのような内容か
この家は、どこか可怪しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。 だから、人が居着かないのか。 何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。 かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが──山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編。
※Amazon紹介より抜粋。
紹介文にもありますが、人の怨念である穢れが、感染のように広がっていくのが斬新な切り口の物語です。
つまり、呪われた賃貸に住んでしまい、危ない! と思って引っ越しても、もう遅く、その先で怪異に遭って死ぬという。そして、引越し先のそこに住んだ人もまた呪われて死ぬという連鎖です。
いわゆる幽霊は、廃病院とかお化けトンネルとかにいて、近づかなければ害はないという前提のはずが、そのような場所に行かない人も呪いの対象になってしまうという恐ろしい話です。
いやいや、もうぜんぜん読みたくないブヒですよ。馬小屋にいるのに呪われるってことブヒですね・・・。
あくまで、そ、創作だからね? ホントじゃないんだよ? 怖さを楽しむというかさ。
あ、でも実在の人物も出てくるんだよな。主人公である女性作家も、作者の小野先生がモデルだし、本当も混じってたり・・・。
しんさんは「幽霊と一回戦ってみたい」とか、意味がわからない格闘バカだからいいブヒけど、普通の人からしたら恐怖でしかないブヒよ。
そうかあ、まあ苦手な人は苦手だよね。わたしも恋愛小説は、知り合いの作家さん以外のものは読まないし。
幽霊とかまったく怖くないわたしでも、手元に置いておくと呪われる気がする、そう思う唯一の本だよ。
あんなにたくさんホラーを読んだり、怖い映画を観まくってるしんさんが・・・。
※ハードカバー版は、カバー下(左)や扉絵(右)もいい感じで不気味です。
ちょっとだけ抜粋
手紙の主は三十代の女性で、仮に久保さんと呼んでおく。都内の編集プロダクションにライターとして勤務しており、当時、首都近郊にある賃貸マンションに越したばかりだった。
久保さんは、その部屋に何かがいるような気がするという。※中略
持ち帰りの仕事を片付けるのは、どうしても深夜になることが多い。その日も彼女はリビングに置いた仕事机で原稿を書いていた。コンピュータに向かい、テープから起こした原稿を記事の体裁に纏めていく。その背後で、さっと、小さな音がした。
乾いた質感の、畳の表面を何かが擦るような音だった。
久保さんは振り返った。彼女の背後には寝室として使っている和室がある。二枚の板戸で仕切られてはいるが、戸を閉めたことはほとんどない。その入り口にちょうど背を向ける恰好で仕事をしていた。
何の音だろう、と椅子に坐ったまま寝室を覗き込んでみたが、音のするようなものは何もない。気のせいか、と机に向き直って仕事に戻ると、しばらくしてまた同じ音がする。
さっという軽い音だ。昔、家の中を掃除するのに箒を使っていた時代があったが、久保さんが真っ先に思い出したのは、その音だった。畳を箒で軽く掃く音。さもなければ、畳の表面をさっと掌で払ったような音だった。
だが、久保さんは独り暮らしだ。
※中略
「誰かがひっそりと掃除をしているみたいでした」と久保さんは言う。
※中略
久保さんは例によって家で仕事をしていた。深夜になって、背後でまたいつもの音がした。「またか」と思いつつ、ことさら振り返らずに仕事をしている。すると、背後では右に左に畳を擦る音が続く。コンピュータの画面に何かが映り込んでいないか注視してみたが、寝室は真っ暗で様子が窺えない。さっと右に擦る音がして、少しの間、途絶える。今度は左に擦る音がして、それが途絶える。規則的にそれが繰り返される。ひとしきりそれを聞いて、いきなり振り返ってみた。振り返ると同時に音はやんだが、その直前、寝室の床を何かが這うのを彼女はみた。
「平たい布のように見えました。……着物の帯じゃないかと思いうんですけど」
※本書内「端緒」より抜粋
この音の正体、すごくゾッとさせられました。
おすすめのポイント 2点
- 主人公の語り口が冷静
☆☆☆☆☆(星5つ)
いい文章は、主人公と作者がいい感じの距離にあるのですが、それが本作の場合、作品と非常に合っています。主人公が冷静なだけに恐怖が際立っています。 - 歴史ある恐怖、ミステリー要素
☆☆☆☆☆☆(星6つ)
ウイルスのごとく拡大する呪いもですが、なぜそのような強力な恨みが発生したのか、主人公が謎を紐といていきます。
目次にあるように、今世紀から高度経済成長期、戦後、戦前と物語は広がっていきます。
本がよかった方は映画もどうぞ
原作を読んで面白かった方は、映画もおすすめです。
小説ベースの映画は、たいていがっかりする場合が多いのですが(※あくまでもわたしの場合です)こちらはおすすめできます。
しっかりと原作の怖さが表現されており、小説だと、ともすれば因果関係が複雑でわかりにくいという方もいらっしゃるかもしれませんが、映像だと苦もなく理解ができます。
しんさん、やばいブヒ。YouTubeの映像だけで呪われた気がするブヒ。
映画『残穢 ー住んではいけない部屋ー』
素晴らしい映画ですが、まことに残念ながら主演の竹内結子さんがお亡くなりになられました。
作品との関係がどうというのでは全く無く、大好きな女優さんが亡くなられたことが本当に悔やまれます。もっとご活躍が拝見したかったです。
竹内結子さんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。
最後に
ウマぞうくん、どうだったかな? ちょっと興味が出た? 連鎖する呪いとか、ミステリーであるとかさ、読んでみたくない?
うーん、、、気になるブヒですけど、たぶん夜中にトイレに行けなくなるブヒですよ? しんさん、ついてきてくれるブヒ?
ウマぞうくんをトイレに連れていくの!? そ、それは嫌だなあ。
じゃあ、やっぱり読めないと思うブヒ・・・。あ、でも映画なら何とか。
苦手なものをすすめるのは難しいですね。
はい、今回はこれでおしまいです。
興味を持った方は、ぜひ読んでください。
面白くて、怖いこと間違いなしです。
「今日のひと言」
真実はいつだって、あとになってからひょっこり顔を見せる
最上世助
次回は人生の教師『論語』です。
・一覧 『人生を豊かにする本棚』
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