長編小説『少年と怪物』第３６環。はじまった学校。入学式でのおきまり、祝辞、校歌斉唱、新任の先生の紹介。だが今年だけはあることが違う。校長は、少女が亡くなった原因について語りはじめた。

第３５環。新しいクラスのはじまり。そろったメンバー。小学校最後の年こそは、完璧な年になる。インチョーは喜ぶ。しかしマウスが言う。「バラバラなんだよ！　ホンモノの生首だって！」

第３４環。意地が悪いのではない。憎しみと呼べるものさえぶつけてくる用務員の外吉。父親がいないことまであげつらわれ、インチョーは我を忘れる。衝突は避けられず、児童たちは固唾を飲んで見守る。

第３３環。用務員の外吉は児童たちを嫌っている。子どもたちを怒鳴り、竹の箒で殴る。体育館前で子どもたちを泣かせていた外吉。その目に、インチョーが止まった。

第３２環。春休み明けの学校。桜舞い散る登校。アスレチックから落ちて死んだ男の子の怪談。インチョーは小学校最後の年に思いを馳せる。

第３１環。胸浮き立つ新学期。少年はいつもの通学路をゆく。しかしこの一年に限っては、そこかしこに恐怖がつきまとう。通学路の神隠し。いたるところに口を開ける防空壕。すべては「それ」に向かって集束していく。

第３０環。父のいない家庭で、父についての作文課題はトラブルとなる。母は怒りを息子にをぶつけ、息子は沈黙する。長年の互いへの気遣いが、二人の間に深い溝をつくっている。しかし何でもない会話の中で、親子はまだ絆が残っていることを知る。