「葛飾北斎の名言」 【世界の名言】

【世界の名言】
スポンサーリンク

天が私の命をあと5年伸ばしてくれたら、私は本当の絵描きになることができるだろう。

葛飾北斎



葛飾北斎の臨終の言葉として伝わっています(90歳のとき)。

すごいですね。

本当かどうか知りませんが、信じられないほどの向上心といいましょうか、探究心といいましょうか。

いえいえ、本人はいつまでも達成できないもどかしさ、悔しさなどで一杯だったことがうかがえるような言葉ですから、そのような前向きな気持ちではないのかもしれません。

しかしこの言葉に、葛飾北斎が唯一無二となった精神が現れている気がします。

はじめて知ったときは、小説という分野で唯一の高みを目指す端くれとして、

「北斎くらいで、そう思うのか・・・」と目をつむってしまいました。


日本人で知らない人はいないと思いますが、葛飾北斎は浮世絵師、活躍したのは江戸時代の後期です。

色々な逸話が残っていますが、興味をひく話をいくつかあげますと、
まず『ライフ』誌の「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人として唯一ランクインしています(おそらく『ライフ』が消えても北斎は残るので、だからなんだって話ですが)。

あとは引っ越し魔だったことも有名です。
生涯で90回くらい引っ越したとか、引っ越さないとか。

色々な画号を使うことも有名。
(※画号 作家でいう筆名です)

その中に「画狂人」と「画狂老人」というのがあって、これがなんか格好良くて好きです。

稀有けうな人物にありがちのトラブルも非常に多かったようで、その辺りはウィキペディアでも項目になっています。
どれも「らしい」エピソードなので、興味があるかたはリンク先をどうぞ。

ウィキペディア「葛飾北斎」のトラブル


変わった作品では、北斎漫画というのがありまして、わたしは資料として持っています。
内容も面白いですが「こんなに書いたのか」と絶句します。
例外もありますが、偉人たちはみな抜きんでて精力的ですね。



名言に話をもどしますと、「これだ」と思う道をひたすら突き進むというのは、年月が経てば経つほど至難の業ですね。

人生は長く、山あり谷ありですから。

・はじめに、まずそれくらい熱いものが見つかるかどうか

・10年、20年とやっていって、情熱が消えないか

この二つで、後者がより大きいかなと思います。

1についても「見つかっただけ幸せ。羨ましい」という意見も多く聞きます。
まず見つけるのに多大な努力がいる場合もあれば、偶然という運や、育つ環境が関わる場合もあります。

2については「やりたいことは見つかったが、時間がない」が最初の壁ではないでしょうか。

また、時間をかけたとしても「やっぱりダメだった」、「飽きてしまった」、「いつまでも成果が出ないからやめた」などが出てきます。

作家でいえば、名のある文学賞を受賞するまでいっても(ここまででも本当に大変なことです)「書くペースがグンと落ちた」もしくは「書くのを辞めてしまった」という方もいらっしゃいます。

うまくいったから続けられるというものでもなく、達成感や満足感などが辞めるきっかけになる場合も多いです。

満足とは、成長の芽を殺す毒の雨である。

最上世助


そして、10年、20年、30年と続けた先で、まだそれに対して情熱を持って取りくめるのか。
休日にちょっと取り出して、眺めては考える1時間は、おそらく実を結ばないでしょう。

幸運にもまだわたしは、書き物を辞めようと思ったことは無いのですが、

(「辞めたらどんなに人生が楽だろう」と思うことは沢山あります)

ただ若い時と心持ちはやっぱり変わっていて、今は「燃料のたき木はたくさんあるけれど、マッチが少ない」という感じになりました。

若い時は逆で「とにかくマッチはたくさんあって火はつくけれど、燃やす燃料のたき木が少ない」という感じでした。

両国


物書きの世界で16年生であるわたしはまだまだひよっこですが、書き物の分野でなんとなく長続きのコツを挙げるなら、

1、打ち込む以前に、人物そのものが特徴的。またそうなろうと努力し、成果と共に人物が成長している。(でも本当に向いている人は、そもそもこういうことを考えていない)

2、書き物に十分な時間を使う。使わねば決して突出できない。突出できなければ、ほぼ辞めていくことになる。(本当に向いている人は、誰に止められてもやっている)

3、新しい自分、新しい何か。先へ目が向いている。

その方によっても違うのですが、凡才のわたしの場合、この三つが大事です。

2などは、ホラーの帝王スティーブン・キング氏が、

十分な時間を使えぬうちは、話にならない。やらないならば、そう、車でも洗ったらどうだろうか。その方がよほど有意義だ。

スティーブン・キング

と厳しい言葉を残しています。

時間を作れたとしても「やりたいことをやっている」と考えるのか、「何かを犠牲にしている」と考えるのか、これもその人の自由ですが、前者のように考える人の方が、成功している人には多い気がしまう。

経営でも作家でも、成功している人に会ったその人数はもう数えきれないのですが、個人ごと、まったくやり方が異なって同じものが一つも無いということ。
また、あまり深く考えない、人の目を気にせず楽しくやるというのも、共通点と思います。

何かの参考になればと思います。



最後に原文を紹介して終わります。

翁死に臨み、大息し天我をして十年の命を長ふせしめバといひ、暫くして更に謂て曰く、天我をして五年の命を保たしめバ、真正の画工となるを得べしと、言吃りて死す。

葛飾北斎 臨終の言 全文


(訳)

「死を目前にした(北斎)翁は大きく息をして『天が私の命をあと10年伸ばしてくれたら』と言い、しばらくしてさらに言うことには『天が私の命をあと5年保ってくれたら、私は本当の絵描きになることができるだろう』と言吃ことどもって死んだ」



もうひとつ。辞世の句です。

だまで ゆくきさんじや 夏の原

※一般には

ひと魂で 行く気散じや 夏野原

葛飾北斎 辞世の句


(訳)

人魂になって夏の野原にでも気晴らしに出かけようか」


一度、葛飾北斎について詳しく知りたいという方には、すみだ北斎美術館がおすすめです。

すみだ北斎美術館(公式HP すみだ北斎美術館)


以上、今回の挿絵はすべてシカゴ美術館からのものでした!
シカゴ美術館(※公式)

それではまた次回!


今日の一言

あがいて、あがいて、あがきまくる。されど骨頂は、がむしゃらにはない。

張りつめすぎず、緩みすぎず、落ち着いて一歩一歩精進の心。

最上世助


・世界の名言 一覧 「不滅の精神


コメント

タイトルとURLをコピーしました