『この門をくぐるもの、一切の希望を捨てよ』
とはダンテ『神曲』の中に登場する、地獄門に刻んである言葉だが、
もじって使わせていただくなら、こう言いたい。
『我が子に本を読ます作家よ、一切の希望を捨てよ』
絵本を書いたのである。
かなり、がんばって書いたのである。
ふだん、仕事ばかりで遊んであげないダメな父親だから、
忙しい合間をぬって、
「そうだ。おれだけにしかできないことをしよう」と思いたち、
子供たちを主人公にした絵本を書いた。
40ページである。
これに娘たちが絵をつけてくれて、
「娘たちと合作なんて素敵じゃないか」
「大きくなって、これを見て涙したりして」
などと、ひとり、
にこにこしながら机にむかい、脱稿した。
ところが、、、、
ちっとも読んでくれない。
。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。
えッ!
うそ!
なんで!
ぜんっぜん読まれない!
1ページくらいしか読んでくれない!
そんでもって、
おもちゃの横とかにうち捨てられる!
うそだ。。。。
だって、父ちゃんけっこう気合いれたよ?
これでもプロだよ?
できもいいと思うけどなー。
見せ場もあるよ?
きみたち主人公だよ?
なんで? どうして?
などと、幼い子どもたちに負けないくらい疑問いっぱいでいると、
小学校1年生の次女がひと言
「長いんだよねー」
。。。。。
たとえれば、娘たちが部長、わたしは新入社員になった感じだろうか。
わたしは、今回失敗したプロジェクトについて必死に弁明する。
すると、部長がいう。
「ちみー、プロセスじゃなくて結果がすべてだよー」
「いや、部長、結果はそうなんですが、ここのところがいままでとチガイマシテ・・・」
「あのさー、ちみに言いたいのはさー」
ええ、ええ。
わかってますよ。
すべて言い訳だって。
言い訳してるヒマがあるなら、次を書けって。
だって、すべての原因は、
「作品が面白くないことにあるから」
わかってる。すごくよくわかってる。
でも、傷ついた。
絵本を書いておきながら、
「ちょっと子どもにはむずかしかったかな」なんて、矛盾も言ったけれど、
こころの中はこんなでした。↓
かりにも日本ファンタジーノベル大賞・優秀賞なるありがたいもの(←これ、なんかいい略し方ないですかね)をいただいた作家としては、
いや、そうでなくとも、ナイーブな心は、ズタズタでした。
でも、あの激辛の娘たちに面白いって言わせたら、百万部売れそうな気がするので、
もう一度挑戦すると青空に誓った、今日この頃でした、まる。
※ちなみに絵本の題名は、子どもたちの名前をもじって『ナジハミドンの大冒険』と言いました。
今日のひと言
『我が子に本を読ます作家よ、
一切の希望を捨てよぉぉぉぉ!』
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