『顔之推の名言』
(訳)
「若い頃から習い覚えた習慣は、持って生まれた天性に等しい」
※小成(しょうせい)
出展は『顔氏家訓(がんしかくん)』
記したのは顔之推(がんしすい)。
孔子の言葉である。
本来は「小さな頃から習い覚えた〜」とするのが正しいようだが、
斉の時代にくらべ、いまは寿命が倍近いので、若いころからと解釈してもいいだろうと思う。
この言葉を読むと、わたしはいつも2つのことをおもう。
ひとつは教育。
教育というものは最初にこそ、こだわらなければいけないということ。
たとえば、家庭でいえば3つ子、教育制度であれば大学、会社でいえば新卒までだろうか、などと思う。
ふたつめは、才能というもののとらえかた。
天才と言われたあるヴァイオリニストは、
『わたしは毎日10時間練習をし、それを40年やって、ようやく人から天才と呼ばれた!』
という言葉をのこした。
世間でいう才能は、そうした概念であるので、
才能のあるなし、などという確かめようもないことに思い悩んでエネルギーを消費しないこと。
ただただ、毎日一歩ずつ努力すれば、
人から見れば天性にみえるという事実さえわかっていればよいこと。
才能は、イメージにすぎない部分がおおく、
天才たちも自分に才能があるなどと思ったことはなく、ただ地道に歩んだこと。
「努力できるのが才能」という耳タコな言葉もあるが、
そんなことを言っても、なんでも才能のせいにして逃げてしまうだけだということ。
いまは寿命が長くなったので、なにかをはじめるに遅いということは、スポーツなど特殊な分野をのぞいて、あまりないこと。
『小成は、天性のごとし』
しのごの言わないで、
ただ一事を、毎日頑張るだけでいいと思う。
(おまけ)
原文はもう少し長い。
嬰孩(えいがい)…乳飲み子。
(訳)
「孔子いわく、若い頃に習い覚えたものは天性のようであり、習い覚えた習慣も自然(に備わった)のようである。ことわざにあるように、嫁に教えるには初めて家に入る時からであり、子に教えるには乳飲み子の時からだ。これは誠であろう」
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