新しいことをはじめるときに知っておきたい『孟子の名言』
『先義後利』
(せんぎこうり)
(訳)
人としてあるべき道を優先し、利益を後にまわす。そうすれば利は必ずあとからついてくる。
出典は『孟子』。
人生もおなじだが、経営をしていると、さまざまな困難に直面する。
現代は流れがとても速い。
順調に推移していた部署が、一気に赤字へ転ずるなど、日常茶飯事といっていい。
だから昨今の経営においては、絶え間ない組織変革、あるいは新企画や新プロジェクトをおこさねばならなくなった。
変化のはやい時代を生きるのだから、既存によらない、新しい体制を創るのが当然だからだ。
だが新しいことをはじめるには勇気がいる。
勇気とは何かといえば、
1、金を投資すること
2、優秀な社員を、現部署と並行、あるいは切り離して新しい業務にあてること
上ふたつをもって、はじめるまえに、入念に計画を練る。
だが、たいていの場合、思ったようにはすすまず、
一年たって、赤黒がとんとんであれば、御の字だ。
なるか、ならないか、開始前に悩むが、
本当のところはすすめてみないとわからない。
新規事業が思うように進まないと、経営者やプロジェクトリーダーは、だれに言われずとも焦る。
はやく利益を出したいと、だれよりも思っているのはリーダーその人たちだからだ。
だが思わしくない結果が半年、一年とつづくと、リーダーの日々の言動、態度はせわしくなる。
そしてかれの部下たちも窮屈をおぼえる。
10起こしたうちの1が生き残ればいいというのが、何かをするときの心構えだが、
たいていの場合、もしプロジェクトが失敗したならば、ほとんどのリーダーは二度と挑戦しなくなるだろう。
この流れはうまくない。
全力は尽くすべきだが、余裕がなければ大局を見失ってしまう。
そのようなとき、この名言がわたしを落ち着かせてくれる。
『先義後利』
あぶない儲け話に飛びつきそうになるとき。
商談が成立しかける間近で、がっつく自分がでそうになるとき。
利益が出ないと焦るとき。
はやく利益を出そうと考えるあまり、基盤を崩すようなことまでしでかしそうになるとき。
『先義後利』
この言葉はそっと、手綱をひきしめ、余裕をあたえてくれる。
正しい道を示してくれる。
コメント
冴崎 伸 先生
いつも心に響く表現力にジンワリさせていただきながら拝読しております。
新規事業の立ち上げには、乗り越えても乗り越えても【壁】があるものですが、そんな中でも見えないものが見えてくる、自分をひと周りもふた周りも成長させてくれる人との繋がりや、根底には成就させたい事業への執着心と愛情がありますので、へっちゃらと思える強さがあるものです。自分は愛する事業を全うさせる夢を、諦めず前を向いて進みたいと考えております。どこに身を置いても、です。そのためには冴崎先生のおっしゃるレールが敷かれるまでの【利】は二の次。いつもデーンと構えるリーダーでありたいです。
NAPPA KURARINGさま
コメントをよせてくださり、まことにありがとうございます。
おっしゃられる通りだと思います。成し遂げたいものが大きければ大きいほど、巨大な壁がやってきますが、
思いもよらない素晴らしいことに出会うのもまた、そうした難関の最中だと感じます。
いつも悟ったような口調でわたしは書いておりますが、実際は迷いのなかで一歩一歩すすんでおります。
素晴らしい決意と力強い言葉に、反対に勇気づけられました。
事業の成功を、心から応援しております。ありがとうございました。