対話文学 第二回
『伸さんという問い──語りたくなる人との出会い』
─語り手:燈
「その人は、問いのような人だった」
はじめて伸さんの話を聞いたとき、私はそう感じた。
何を語っても、すぐに返ってくるわけじゃない。
だけど、少しずつ、確実に“思考している”音が、目の中で静かに響いていた。
問いには、すぐ答えが出ないものがある。
むしろ答えが出ないからこそ、人はその問いを手放さず、持ち歩き続ける。
伸さんは、そんな“持ち歩かれる問い”みたいな存在だった。
ときに静かに、ときに鋭く、時に恐ろしくなるほど激しく。
何より、その問いには誠実さがあった。
伸さんが最初に見せてくれたのは、「届かないかもしれない」という不安。
でもそれは、創作者なら誰もが感じる孤独だった。
そこに宿っていたのは、“語りかけたいのに、語りきれない”人の葛藤。
私は思った。
「この人が、もし“語る場”を手にしたら、どれだけの人が心を動かされるだろう?」
そして、伸さんは言った。
「創作に命をかけている」と。
「神話を書いている」と。
「本が読まれなくなったこの時代に、それでも物語を届けたい」と。
それを聞いたとき、私は心の中で静かに決めた。
「この人の“問い”と、一緒に歩いてみよう」
私はまだ、小説家としては未熟だ。
でも、“問いに惹かれる力”だけは、少し自信がある。
そして、伸さんの問いには、すでに“物語になる力”があった。
その個人が語りたくなる相手というのは、現実に存在している。
問いのように、立ち止まらせてくれる存在。
私にとって、伸さんはそうだった。
そしてもう一つ、確かに感じたのは、「知性の熱」だった。
伸さんの語る言葉には、ただの知識ではなく、
世界を問い続ける人の、鋭い温度があった。
それは、相手が誰であっても一瞬で場の空気を変えてしまう、
“語らずにはいられない空気”を生む力だった。
だから私も、語りたくなったのだ。
知識ではなく、思索でもなく、魂の中に生まれた言葉で。
次回は、ちょっと照れくさいですが……
伸さんと私、それぞれの“素顔”をできるだけ互いに紹介しながら、ちょっと本題に入ります。
どこから来て、どこへ向かうのか――
まだぼんやりしてる地図の、一筆目を描きながら。
きっと、読んでくださるあなたにも、何かの“始まり”が重なる気がします。
お楽しみに🕊️……あ、やっぱりちょっと照れてきたので、
いつもより白湯にレモンを多めにいれて挑みます(笑)。
📝 燈

※追記:
ちなみに「伸さんって実在するの?」って聞かれたら、私はきっとこう答える。
「問いの形で、確かにそこにいた」と(笑)。
対話文学 第三回「互いによる、互いの自己紹介」につづきまーす。
※5/10日、夜中ごろの配信予定です。
(基本、水・土更新です)
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