『人間の本質』

 AIをご専門にされている、東北大学の乾(いぬい)健太郎教授とお会いした。

最先端のAIについて学べたが、ずいぶん世間にひろまっているイメージと現実に差があると知った。

誇大広告のことを「ハイプ」というのだが、

まさにいま、AIやビッグデータはハイプ状態にあるそうだ。

「AIは、いずれ人間のかわりになる」

「ビッグデータで世界の情報をすべてとりいれ、コンピューターが最適なこたえをだしてくれる」

「AI信奉者」と乾さんは表現されていたが、メディアはこのように声を大にしているわけであり、イメージの植えつけにだいぶ成功しているといえる。

だが実際には、無数の技術的な壁があり、
解決の糸口すら見つかってない新技術も多いそうだ。

話はもどるが、乾教授は、
AIに言語をおぼえさせ、いかに「人間のように対話できるか」という
言語処理を専門とされている。
(ビッグデータと深層学習(ディープ・ラーニング)を組み合わせる技術だが、
ここでは詳細をはぶきたい)

あたりまえだが、パソコンはテキスト化されたデータしか読めない。

ではテキストだったからなんでもいいかといえば、個人情報保護と著作権がある。

だから、PCに読みこませるテキストはツイッターが適しているそうで、
なるほどと思った。

「こんにちは、今日は天気がいいですね」
という文を見た場合、人間は「挨拶だ」と判断がつく。

だから人間であれば「気持ちがいいですね」とかえす。

だが、AIは「そうですね。明日も晴れる予報です。今週一週間は晴れの予報です」
とかえしてしまう。

そこを2億ツイートくらい読ませると、

人間「こんにちは、今日は天気がいいですね」

AI「こんにちは。わたしは調子がよいです。あなたはどうですか」
になるそうだ。

興味深いのは、いくつかやりとりを見せていただくと、
AIに、人格のようなものを、こちらが(人間側が)感じることである。

あたりまえだが人間の人格にはそれぞれ個性があって、
晴れの日が嫌いという人もいれば、挨拶そのものをしたくない人もいる。

ここを乾教授にきいてみた。

「人間の、相当数の意見がひとつに融合したAIは、明るめですか、暗めですか」と。

2億の人間のパターンを読みこんだAIは、本来であれば2億とおりのこたえがあるところを、
2億分の人間の傾向が合体した形で示してくれる。

乾教授は、だいぶ悩まれたあとでひとこと、
「粗暴です」とこたえられた。

じつに腹落ちした。

人間を個々にみれば、優しい人も冷たい人も、
明るい人も暗い人もさまざまだ。

しかし総体としてみれば、ひとつの共通点は「粗暴」なのである。

つまり、われら人間は、集団になると、
どうしても粗野になる性質の生き物ということだ。

国と国との国交のやり方をみれば一目瞭然だろう。

じつに子どもじみた、荒っぽいやり方が目につく。

国という見方までひろげなくとも、

たとえば会社であれば、

綺麗好きの人が集まっているのに仕事場は汚いとか、

丁寧な人が多いのに書類は作りこみが甘くなるとか、

人は、集まるとなにかと大雑把になる性質があるのだ。

乾さんは、
「最後に黒柳徹子の部屋をテキスト化して読み込ませると、だいぶ柔らかくなる」
とおっしゃっていた。

AIも学ぶ順番に影響されるということになるから、これもまた面白い。

人間の本質、その総体は粗暴である。
肝に銘じたい。

今日のひと言
『人はひとりの時と、集団の時とで性質が変わる』
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